電車の中にカナブンが迷い込んでました。扉の近くにいて、電車が丁度駅に停まり扉が開いたため、捕まえて外に逃がしてやろうと思いました。けど、わざわざ席を立ってカナブンを助けるのは、何か周りの目が気になってできませんでした。それに次の次の駅が僕の降りる駅だったので、『その時、降り際に捕まえて逃がしてあげればいいや』と落胆的に考えていました。しかし、次の駅で、電車を降りようとした白い服の男性の足に、クシャリ。
その瞬間、何故か僕の中に物凄い衝撃が走りました。『愕然』という言葉がピッタリ当てはまるような衝撃。その瞬間僕は何故か、一瞬で世界の真理を悟ったような感覚に襲われました。比喩とかそんなんじゃなく、頭にそれが浮かんだ。
今までだってこんな光景、そんな珍しいことじゃなかったはずなのに…
“たかが”一匹のカナブンなのに、それが消える瞬間を目の前にしたら、それは僕の小ささだった。一瞬で酔いが覚めましたよ。それと同時に今さっきまでウワツイテいた自分に自己嫌悪。何であの時助けなかったのか。『恥ずい』とか、バカじゃねぇ~のか?代わりにテメぇ~が潰されろよ、ムシケラ。
…何で俺こんなにヘコンでんだろ?よく分からん。
……みんな、どんな小さな命も大切にしようね…。
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